奈良公園には1388頭ほどの野生の鹿が住んでいます(2019年7月奈良の鹿愛護会調べ)
雄鹿といえばあの「かっこいい鹿の角」を思い浮かべますが一年中いつでも見られるものではありません。ご存知でしたか?
こんなカッコイイ角をはやした雄鹿を見たければ夏のシーズンがおすすめです。ただし怒らせないように気をつけて下さいね。鹿は野生の動物です。
春から夏にかけては鹿は夏毛でとてもきれいです。とりわけ綺麗な茶色の毛の中に混ざる白い斑点、鹿の子模様(かのこもよう)がいいですね。夏の季節の鹿が一番綺麗だと思います。
奈良公園の鹿の角、1年の移り替わり
鹿の角の枝分かれは鹿の年齢によりかわります。角は4月頃からはえ始め、枝を伸ばしながら成長し、9月頃に完成します。
鹿の角って季節によってこんなに違うんですよ
奈良公園に住んでいる鹿は「にほんじか」という鹿です。鹿の角は春先にひとりでに脱落します。そして新しい角がはえてきます。要は毎年新しい角に生え変わるっていう事ですね。
春先から初夏にかけての鹿の角
満1才までのオス鹿は角が生えません。だからぱっとみただけでは男の子か女の子かわかりません。
満1才以降の鹿は4月頃に新しい角が生え始めます。満1才のオス鹿は枝のない角です。「ごぼう角」と呼ばれているそうです。見かけたらさしずめ「青年」なんだなあ~と思って下さいね(笑)
1才以降、年齢があがるにつれて鹿の角は枝が増えます。
生え始めの鹿の角は柔らかそうです
生え始めの鹿の角は、袋角(ふくろづの)と呼ばれます。角の表面は柔らかい皮膚に包まれ、産毛のような短い毛が生えています。柔らかそうですね。
中には角に栄養を送る血管が通っています。観光客の持ち手付きのバッグやカメラがひっかかったりなど、この頃にダメージを受けると角が変形したりします。鹿の角が成長するためにとても大切な時期です。
春に生え始めた角は8月にむけてどんどん成長していきます。
5~6才のオス鹿は立派な角をはやします。
8月下旬頃までに鹿の角は全体が硬くなります。さあ、角の完成です。
奈良公園の鹿の角についてまとめてみました
- 鹿の角は毎年春先に勝手に落ちて新しく生えかわります(年齢に関係なし)
- 満1才までは鹿の角は生えません。
- 満1才のオス鹿は一本角の角が生えます。
- 満2才のオス鹿は直線の枝に枝が1本出ます。1又2先(ひとまたにせん)
- 満3才になると枝が2本。2又3先(ふたまたさんせん)
- それ以上の年齢になると枝が3本になります。3又4先(みつまたよんせん)
- 春に新しい角が生え始め8月中旬頃にできあがります。
※雌鹿は角がありませんので、見た目で年齢を知るのは難しいです。奈良の鹿愛護会では、獣医さんがおられ、歯の状態から年齢がある程度わかるそうです。
夏に奈良公園へ行くと、立派な角をはやした鹿を見ることができていいのですが、逆におこらせたりすると危ない場合があります。お気をつけ下さいね。
■奈良の鹿と触れ合う時に注意することをご参照下さいね。
8月下旬よりトラブル回避のために鹿の角は切られます
また鹿の角は本来、春先に自然に落ちるものですがトラブルを避けるため、「奈良の鹿愛護会」のスタッフの方が鹿の角きりを8月下旬より順次始めて下さるそうです。
というわけで立派な角をはやしたオス鹿の数は秋に向かい減っていきます。
角を切るのはオス同士のケンカや人間とのトラブルを避けるためです。
「角を切るなんて痛そうでかわいそう~」と思う方がおられるようですが、実は鹿は痛くないそうですからご安心下さいね。人間が爪をきっても痛くないのとほぼ同じですね。
鹿の角きり2019年予定
秋には伝統行事の「鹿の角きり」が公開されます。ただ単に切るという作業ではなく。伝統的な方法で行なう「儀式」です。
春日大社境内にある「鹿苑(ろくえん)」という鹿の保護施設では行事に関する資料の展示があります。
場所:春日大社境内の鹿苑(ろくえん)角きり場
※奈良の鹿愛護会事務所があるところです
日時:2019年10月12日(土)・13日(日)・14日(月祝)
時間:12:00~15:00(開場11:30、最終入場14:30まで)
料金:大人¥1000、子供(小学生)¥500 当日券のみ販売
鹿愛護会会員・同伴者1名まで無料。
※小雨決行・荒天中止
※詳しい情報は奈良の鹿愛護会公式ホームページで